NXPの Henk Jelink氏とMaarten Van Den Berg氏の ThousandEyes Connect イベントでの事例発表。
NXPセミコンダクターは、オランダのアイントホーフェンに本社を置く、車載半導体シェア世界第一位のグローバルな半導体メーカーで、世界35カ国以上約31,000人の従業員によりサービスを提供しています。自動運転化や電動化などにより今後も継続的な成長が見込まれ、車載半導体市場で最も主導権を発揮できる地位に就きました。
プレゼンテーションの冒頭では次のようにもコメントしています。「皆さんはお気づきではないかもしれませんが、ほとんどの車には、少なくとも20~30個のNXPチップが搭載されています。また99%のモバイルデバイス上にもNXPチップが搭載されています。」
Henk Jelink氏は2000年からNXPに勤務し、グローバルコネクティビティグループに所属。一方、Maarten Van Den Berg氏はCGIに勤務し、コネクティビティアーキテクトとして5年以上のNXPパートナーです。
「品質向上」「欠陥ゼロ」をスタートから「適切な方法」で目指す
Henk Jelink氏の発表
「NXPは2年前にThousandEyesを採用しました。 社内の研究プロジェクト向けのツールをインターネットで探していた際にThousandEyesを知り、全てはそこから始まりました。社内ネットワーク用の監視ツールは多くありましたが、インターネットやクラウドへのアクセスはブラックボックスとなってしまい、何も見えないのです。でも今はその中身が見えるのです。
最初のきっかけはOffice 365の監視でした。Skypeの品質が悪くなると、多方面からクレームがあがりました。このような場合、いつも最初に疑われるのはネットワークで、アプリケーションサポートチームから連絡が入るのです。恐らくネットワークの問題ではないとわかっている時でも、それを証明する手段がありませんでした。でも今は、それを証明するため、アプリケーションレベルからネットワークレベルまでの全体状況を把握し、必要に応じて切り分けから原因解析までのトラブルシューティングを行えるツールがあるのです。
それから私たちは多くの進歩を遂げました。アプリケーションサポートチームも、今はThousandEyesを使用して自分でトラブルシューティングを行えるので、我々への問合せの前に自らプラットフォームの状態を確認するようになりました。これは素晴らしい進歩です。
ThousandEyesを採用して以来、NXPは、50のエンタープライズエージェントとクラウドエージェントを活用して世界中の従業員のユーザーエクスペリエンスを向上させる段階にまで成長しました。さらに最近ではエンドポイントエージェントも活用しています。
NXPはまた、ThousandEyesをワークフロー管理システムと連携させています。ThousandEyesのアラート通知をServiceNowと連携させ、サポート担当者向けにServiceNowへチケットを自動作成しています。
NXPは自社の従業員向けにシステム毎のサービス状況を表示するポータルを作成し、利用中のサービスの状態やパフォーマンス等の指標を自分で確認できるようにしました。今や、ThousandEyesはこのポータルで最も重要なツールとなりました。」
NXPの主なユースケース
ThousandEyesを使用して世界各国の従業員向けに特定のアプリケーションを最適化した方法についてMaarten Van Den Berg氏からの発表。
検証段階の可視化から得られたもの
「ThousandEyesの採用により、検証段階の早い時期でさえもパフォーマンス上の課題をいくつか解決することができました。 現在、主にヨーロッパとアジアのNXPにはThousandEyes のエンタープライズエージェントを広範囲に設置しており、さらにアメリカ地域にも設置を進めております。
当時の検証中に、セキュリティ関連の環境に問題が見つかりました。バンコク工場はハンブルクにある証明書サーバーにアクセスしていたので、その接続性は非常に重要でした。検証が始まった2017年10月、様々な問題があったのですが、ThousandEyesの展開により、それらの問題を迅速に解決することができました。
もう1つの例は、ハンブルクと中国の高雄のサイト間通信の問題でした。 ThousandEyesにより重度のパケットロスが生じていることを確認し、さらに調べるとハンブルグ側のLANが問題の原因であることがわかりました。 ThousandEyes自体が、必ずしも根幹の原因を指し示さない場合もありますが、どこに問題があるかがすぐにわかります。これは、トラブルシューティングには非常に重要なポイントで、問題箇所がわからなければ、解析をどこから始めるべきかもわかりません。
このようにThousandEyesは、根本的な問題解析が必要なドメインの特定に役立ちます。当時ThousandEyesのDevice Layerがあれば、クリックしてLANの詳細を確認することができたのですが、本ケースでは、問題の原因が過負荷のコアスイッチであったことを更なる調査で発見しました。」
「もう1つの例は、NXPとFreeScale社のネットワーク統合です。NXPは2015年にフリースケール・セミコンダクタ社を買収しました。その際に、ネットワーク構成の変更を行ったのですが、変更はうまくいかず、DoorsNGと呼ばれるR&Dチームにとって非常に重要なアプリケーションが機能しなくなりました。
そこでThousandEyesを使用すると、それまで気付かなかったルーティングループが作成されたことがすぐにわかったのです。」
Maarten Van Den Berg氏の発表(英語オリジナル)
アプリケーション層の問題の解決
さらに、NXPが詳細なページロードテストを利用して主要アプリケーションのパフォーマンス向上を進めた例をご紹介しました。 「ThousandEyesを使えば、ページロードの詳細な内訳を見ることもできます。 ネットワークチームはいつも、アプリケーション開発ベンダーから問題はネットワークでネットワークを修正する必要があると忠告され議論を続けていました。
ある日、研究開発チームにとって非常に重要なアプリケーションであるDoorsNGの問題解析が必要となり、ThousandEyesを使用して詳細なステップごとのページロードを表示しました。サプライヤには「これをみてください。ここの処理に3秒、ここでは4秒かかります。 これはあるべき動きではありません。 なぜこれだけの処理時間がかかるのでしょうか?」と質問しました。最終的にはその場では回答ができないため、持ち帰りで調査をしていただくことになりました。 このアプリケーションだけで、サプライヤが修正しなければならないアプリケーション側の問題を16個も特定できました。」
Skype for Businessの最適化
「さらに、NXPが必要としていた主な改善点の1つが、グルーバルで利用していたMicrosoft Skype for Businessでした。昨年1月、テキサス州オースティンでSkypeに非常に大きな問題が発生し、ユーザーと管理者から多くの苦情を受けました。そこですぐに、Enterprise Agentをオースティンの仮想マシンにインストールしました。 1時間以内に、オースティンのサイトとSkypeのバックエンド間で5つの問題を特定できました。
ここでは、ThousandEyesが問題の特定に役立った2つの特定の分野に焦点を当ててみましょう。 まず、問題が発生した時間に、ISPであるレベル3側で問題が発生したことがわかりました。オースティンからインターネット経由でマイクロソフトのネットワークにルーティングしたところ、ある1台のルーターで30%のパケットロスが発生していました。そこでレベル3に電話をして、該当ルーターのIPアドレスとともに問題の指摘と修正依頼をしました。レベル3側も問題を認識し、翌日までには修正、その後再発はありませんでした。
2番目の問題は、NXPからのSkepeトラフィックがマイクロソフトネットワークのどこに流れているかでした。 NXP本社はダブリンのSkypeノードに接続されていたので、全てのユーザーがダブリンのSkypeバックエンドに接続していました。マイクロソフトは、世界各地にネットワークエッジポイントの拡張を進めていたのですが、オースティンからのSkypeの問題が発生し始め、通話の20%~30%が悪い状態でした。
ThousandEyes でわかったことは、オースティンからのトラフィックが実際にはアイオワ州、テキサス州、カナダのインスタンスへのアクセスと頻繁に切り替わっていました。我々はマイクロソフトにこの現象の指摘と特定のエッジポイントへの接続をリクエストし、1週間半後には修正されました。」
ここで学んだ教訓とは?
そして最後にMaarten氏は、NXPによるThousandEyesの今後の利用プランについて語りました。「私たちの次のステップは、サービス運用者自身がそれぞれ自分のサイトのパフォーマンス等を確認できるようなよりビジネスに直結した環境の拡張です。各自が監視テストを設定できる自由度もあり、社内でのThousandEyesの評判は高く、今後エージェントが過負荷になる可能性もあります。これらのリソースを管理することも非常に重要なロールになってきているのです。」
また、ThousandEyesカスタマーサクセスチームのサポートについても賞賛をいただきました。ThousandEyesのサポートサービスは、チャット機能を介して24時間365日利用可能で、実際に設定した監視テスト結果の内容からプラットフォームに関するあらゆるサポートを提供しています。
「ThousandEyesから見えているものが何を意味しているのかを理解するために、我々はカスタマーサクセスチームの力を大いに借りました。彼らはとても親切かつ知識豊富で、良きパートナーとなりました。」
Office365のサービス監視につきましては、こちらのブログもご参照ください。
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