今の IT アーキテクチャにとって、マルチクラウド戦略は重要な一角を占めています。異なるクラウドプロバイダーの「良いとこ取り」をしながら、柔軟性、スケーラビリティ、コスト効率を強化できるからです。しかしこのアプローチは、運用上の複雑さからベンダー固定化のリスクまで、数多くの課題を伴います。適切なソリューションがなければ、マルチクラウド環境の管理はすぐに手に負えなくなります。パフォーマンスの低下やリスクの増大など、メリットを帳消しにする場合さえあります。
これらの問題をお客様が乗り越えられるよう、包括的なマルチクラウド監視ソリューションの新製品、Microsoft Azure 向け ThousandEyes Cloud Insights をリリースしました。ThousandEyes Cloud Insights に Microsoft Azure のサポートが追加されたことで、マルチクラウド環境への優れた可視性や、実用的なインサイトを提供できるようになります。Digital Resilience、シームレスなサービス提供、卓越したエンドユーザー体験の確保を支援します。
さらに Cloud Insights には、オンプレミスインフラと Azure との間の専用プライベート接続まで可視化できる、重要な Microsoft Azure ExpressRoute が今月末までに追加される予定です。この追加機能により、専用プライベート接続をプロアクティブに監視・最適化し、 ミッションクリティカルなアプリケーションに企業グレードの信頼性とパフォーマンスを提供できるようになります。
次に、マルチクラウド環境で組織が直面する最重要課題と、AWS および Azure の両クラウドプロバイダーをサポートする Cloud Insights が課題の解決に役立つ仕組みをご紹介します。
課題その 1:組織主導の継続的なクラウド最適化
組織は、複数のクラウド間でコスト、パフォーマンス、リソース利用のバランスを取るために、クラウド環境を継続的に最適化しています。このような取り組みで一般的なのは、クラウドプロバイダー間でワークロードをシフトさせる、新しいクラウドサービスを採用する、進化するビジネスニーズに合わせて導入規模を変更する、といった対策です。しかし、このような対策によってパフォーマンスが低下したり、可視化できないギャップが生じたりすることがあります。IT、クラウド運用(Cloud Ops)、サイト信頼性エンジニア(SRE)の各チームにとっては、変更の影響を効果的に評価することが難しくなります。
Cloud Insights が最適化の課題を解決できる仕組み
Cloud Insights では、オンプレミスのインフラからクラウド環境、インターネットに至るまで、アプリケーション配信パスについて全体をリアルタイムで確認できます。この包括的な可視化レベルにより、IT チームには以下のことが可能になります。
- 最適化の影響を監視: 変更の前後でパフォーマンスを測定することで、最適化によって重要なサービスを中断させることなく、期待される効果が得られることを確認します。
- ボトルネックを特定: パブリックインターネット、クラウドプロバイダー、ExpressRoute 接続のいずれに問題があるかを問わず、最適化によって偶発的に遅延、パフォーマンス/可用性の低下が発生する可能性のある領域を特定します。
- 変更をプロアクティブに計画: 過去とリアルタイムのデータを駆使してクラウドのパフォーマンスをベンチマークすることで、ExpressRoute を使用した大規模な移行を含むワークロードの移行やリソースの調整について、全体的なパフォーマンスへの影響を予測します。
Cloud Insights は、クラウドネットワークとアプリケーションのパフォーマンスに関するきめ細かなインサイトを提供することで、データ駆動型の最適化をデータに基づいて安心して決定できるようにし、シームレスなサービス提供とユーザー満足度の向上を実現します。
図 1. 設定変更によりスループットが変化した際の障害対応
課題その 2:マルチクラウド管理の複雑さに対処する
クラウド運用チームがマルチクラウド環境を管理するには、各種のツール、API、ダッシュボード、アーキテクチャを上手に使いこなす必要があります。各クラウドプロバイダーは独自のエコシステムの中で運営されているため、同一の評価基準を適用することは困難です。このような複雑さは、運用のオーバーヘッドを増加させるだけでなく、ダウンタイムや脆弱性の発生といったリスクも高めます。
Cloud Insights によりマルチクラウド管理が合理化
Cloud Insights により、すべてのクラウドプロバイダーとそれらを接続するネットワーク全体のパフォーマンスを単一のビューで監視できるため、マルチクラウド管理の合理化につながります。主な特長は次のとおりです。
- 統合モニタリング:クラウドプロバイダーのパフォーマンスデータを単一プラットフォームに集約することで、個別のモニタリングツールが不要になります。AWS と Azure の両方をサポートする Cloud Insights では、評価指標を 1 つの直感的なダッシュボードから確認できます。
- エンドツーエンドの可視性:ユーザーからクラウドホストサービスまで、ExpressRoute リンクを含むアプリケーション配信チェーン全体をマッピングします。発生場所を問わず問題を特定して対処できるようにします。
- 障害対応の合理化:問題を特定のプロバイダー、地域、またはネットワークセグメントにすばやく切り分け、解決に必要な時間と労力を削減します。
Cloud Insights により、複数のクラウドを管理する運用上の複雑さが軽減されます。クラウド運用チームはパフォーマンス問題の解決に時間を費やすことなく、戦略上より重要な業務に集中できます。
図 2. 構成と運用の変更をクラウドインベントリに関連付ける
課題その 3:ベンダーの固定化と相互運用性の問題への対応
マルチクラウド戦略を採用する主な理由のひとつは、単一のクラウドプロバイダーへの過度な依存を避けることです。しかし、クラウドプロバイダー間で実際に相互運用性を確保することは、言うほど簡単ではありません。独自の技術や API、互換性のないアーキテクチャーなどは、運用上のサイロを生み出すことが多くあります。ワークロードやデータが特定のプロバイダーのエコシステムに過度に依存し、その結果、ベンダーの固定化に至るリスクもあります。
Cloud Insights でクラウドベンダーへの依存を解消
Cloud Insights はこうした懸念に対処すべく、各クラウドベンダーのパフォーマンスと接続性について、中立的な可視性を提供します。これにより、次のことが可能になります。
- ベンダーのパフォーマンスを評価: クラウドプロバイダー間で評価指標を比較し、特定のワークロードや地域に最適なサービスを判断できます。
- 移行性が向上: ネットワークの依存関係やデータの流れを把握できるため、プロバイダー間でワークロードを移行することが容易になります。サービスの中断を最小限に抑えることもできます。
- ベンダーの責任を明確化:クラウドプロバイダーがサービスレベル契約(SLA)を満たし、均一な品質を提供しているか、 客観的なパフォーマンスデータにより検証します。
Cloud Insights は、ベンダーの固定化や相互運用性の欠如という課題に対処することで、マルチクラウド戦略の成功に必要な柔軟性と独立性を維持できるようサポートします。
図 3. AWS と Azure のサービスを専用ビューで一元管理
ThousandEyes Cloud Insights でマルチクラウド戦略を成功させる
マルチクラウド環境は計り知れない可能性を秘めていますが、複雑さに対処し、パフォーマンスを維持し、リスクを軽減するための高度なソリューションも要求されます。そこで活躍するのが、次のような独自のメリットを備えた Cloud Insights です。
- 包括的なマルチクラウドカバレッジ:AWS や Azure といった主要なクラウドプロバイダーについてユニファイドモニタリングを可能にします。
- プロアクティブなモニタリング:ユーザーや業務に影響が及ぶ前に問題を検出し、対処します。
- 実用的なインサイト:データ駆動型のインテリジェンスにより、クラウドの使用、最適化、移行に関する戦略的な判断が可能になります。
マルチクラウドを成功させるための次のステップ
ThousandEyes Cloud Insights の効果を実際にお試しください。その方法は次のとおりです。
- プライベートプレビュー版をご利用の場合:プライベートプレビューのフェーズは本日で終了となりますが、これまで通り Cloud Insights をご利用いただけます。
- ThousandEyes をご利用の場合:
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- Cloud Insights Essentials ライセンスのお客様:マルチクラウド環境については、担当チームにお問い合わせください。
- Cloud Insights Advantage ライセンスのお客様:お使いのライセンスにて、追加のクラウド環境を設定可能です。
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- Cloud Insights をお持ちでない ThousandEyes のお客様:ThousandEyes プラットフォームにて、Cloud Insights の 30 日間無料トライアルを直接開始できます。トライアル後は必要に応じてライセンスをご購入いただけます。
- 新規のお客様:ThousandEyes プラットフォームの無料トライアルに登録ください。