セキュリティ、ネットワーク、ヘルプデスクなど、IT チームの業務は急速に進化しています。その大きな一因が、ハイブリッドワークやサードパーティの依存関係です。従来は各メンバーが孤立した状態で動いていましたが、データ統合や背景情報への需要が高まり、依存関係を迅速に理解できる能力がますます必要とされています。お客様や従業員に対してシームレスで均一なデジタル体験を維持することが急務だからです。
Cisco Live Amsterdam にて、以上のようなニーズを支えるための最新技術を複数発表します。その目的は、あらゆるネットワークでデジタル体験を保証することです。対象のユーザーやアプリケーションを問わず、安心して管理できることが新技術の特徴です。この記事では、すべての最新技術についてご紹介します。以下のリンクをクリックして、各セクションに直接移動することも可能です。
リモート ワークフォース マネジメント向けの可視性強化
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Cisco Secure Access Experience Insights:Secure Access に組み込まれた ThousandEyes が洞察を提供。セキュリティチームは、ネットワーク パフォーマンスに対する影響を把握できます
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ThousandEyes Endpoint 向けのシステムプロセスに関する指標:デバイスとアプリケーションの間のやり取りを明確に可視化し、リモート障害対応を簡素化します
テストセットアップの合理化
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API モニタリングの強化: API テスト用の使いやすいソリューション。最小限のセットアップ作業で包括的な洞察を得られます
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エンドポイントテスト用テンプレート: エンドポイントの構成プロセスを簡素化し、各アプリケーションに特化したテンプレートを幅広く展開できます
汎用的なデータ アクセス
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ダッシュボードフィルタ:モニタリングの合理化に役立つ、シンプルで構成可能なフィルタ。業務効率を向上できます
リモート ワークフォース マネジメント向けの可視性強化
Cisco Secure Access Experience Insights
Experience Insights は Cisco Secure Access の中心的な機能であり、ITOps チームが接続とパフォーマンスに関する問題を迅速に診断し、解決するために役立ちます。ThousandEyes を活用したこの主要機能は、セキュリティ サービス エッジ(SSE)ソリューションに組み込まれています。デジタル エクスペリエンス モニタリング(DEM)の一側面として機能し、企業ネットワークの内外でデジタル体験を管理するために不可欠です。
この機能の主眼は、エンドポイントのパフォーマンスに関する重要なデータを提供することにあります。ユーザーが直面している問題の根本原因がデバイスにあるのかネットワークにあるのかを迅速に判断できます。Experience Insights は Cisco Secure Access を補完するものであり、ユーザーのデバイスがアプリケーション パフォーマンスに及ぼしている影響を可視化します。ローカルネットワーク上のパフォーマンスが最適ではない、アプリケーションやシステムのプロセスがリソースを大量に消費している、といった状況における障害対応に役立ちます。また、ハードウェア使用率、ローカルネットワークに関する統計情報、主要なコラボレーション アプリケーションや SaaS アプリケーションのパフォーマンスについても、詳細な洞察を提供します。
管理者は Secure Access ポータルで、デバイスの全体的な正常性ステータスの概要とネットワークやデバイスに関する指標を把握できます。負荷がかかっているデバイスや正常に動作していないデバイスを簡単かつ迅速に特定して対応できることが特徴です。
[Common SaaS Applications Performance](一般的な SaaS アプリケーションのパフォーマンス)ビューでは、デバイスの機能性と不可欠なアプリケーションの状態の関連性を把握できます。ThousandEyes のグローバルの監視ポイントから一般的な SaaS アプリケーションに関するテスト結果を可視化するので、アプリケーションのパフォーマンス問題を効果的に特定し、対応できます。サーバー/HTTP 接続のチェックも備えており、パフォーマンス問題がローカルなのかグローバルな障害の一部なのかを徹底的に診断できます。さらに、問題を地域別に表示できるため、特定の領域のみで問題が発生しているのかどうか判断するのにも役立ちます。
Experience Insights では、モニタリングしている任意のシステムの詳細情報を確認して、特定のデバイスを詳しく分析できます。このインターフェイスには、まずユーザー情報とデバイス情報、次に CPU とメモリの使用率、ローカル ネットワーク リンクの速度と経路、クライアントからセキュア アクセス ゲートウェイまでの接続に関する測定値を含む包括的なパフォーマンスの概要、最後にアプリケーションに関する概要が表示されます。
管理者は、Webex by Cisco などの重要なコラボレーション アプリケーションのパフォーマンスについて、現在と過去のデータの両方を閲覧できます。また、ThousandEyes プラットフォームに相互起動し、ネットワークをより詳しく分析することもできます。この詳細な分析により、ユーザーの直面している問題の原因がデバイスなのかネットワークなのかを迅速に特定できるため、特に ITOps チームに役立ちます。
Experience Insights は、エンドポイントのパフォーマンスをまとめて表示します。これにより IT 運用を合理化し、エンドユーザー体験を高めることができます。このソリューションは SSE フレームワークに沿っており、Cisco Secure Access の管理を簡素化します。また、重要なアプリケーションやサービスにアクセスする際の信頼性と効率性を確実に高めます。
ThousandEyes を活用した Cisco Secure Access Experience Insightsの詳細については、ThousandEyes の製品責任者 Joe Vaccaro によるブログをお読みください。
ThousandEyes Endpoint 向けのシステムプロセスに関する指標
ThousandEyes Endpoint Agent は、SaaS アプリケーションや外部ネットワークとやり取りして、ネットワークやシステムのパフォーマンスデータを取得します。このパフォーマンスデータは、ユーザー体験を把握し、デバイスの問題を特定するために不可欠です。今回、ThousandEyes Endpoint Agent に、デバイスのリソース使用状況と割り当て状況を示す指標が追加されました。各アプリケーションについて、CPU やメモリの使用状況を詳しく把握できるため、デバイスに負荷をかけているプログラムやプロセスを特定するのに役立ちます。
次の図 4 に示すように、この情報はネットワークに関する指標やアプリケーションまでの経路と合わせて表示できます。このように背景情報が豊富に提示されるため、ネットワーク内やローカルアプリケーションの中など、問題がどこで発生しているのかを迅速に判断できます。
テストセットアップの合理化
API モニタリングの強化
ThousandEyes は、API エンドポイントのモニタリングに特化した新たなテストタイプを通じて、API モニタリング機能の拡張を図っています。この新機能は、お客様のフィードバックを直接反映したものであり、ITOps、SRE、NOC といったチームの障害対応や運用に関するニーズに主眼を置いています。ユーザー体験とバックエンド アプリケーションの問題を適切に相関付け、モニタリング対象ではないものの重要な API エンドポイントを特定するのに役立ちます。
当社の新しい API テストは汎用性に優れているため、Terraform を使用している SREチームがアプリケーション導入パイプラインの一部として展開できます。また、ダッシュボードのモニタリングを目的とした NOC 環境にも適しています。200 以上ある当社のグローバルなエージェント監視ポイントからパフォーマンスの正常性を取得して評価できるという点で、API テストはネットワークアシュアランスのための価値あるリソースとなります。
新しいタイプの API テストにより、Functional API のパフォーマンス上の問題を特定するプロセスがシンプルになります。他の ThousandEyes のテストと同じように、[Test Settings](テスト設定)に移動し、テストタイプとして [API] を選択すれば設定できます。テストの構築には、API Step Builder とテストのテンプレートを利用できます。複数のステップを組み込んで異なるリクエスト URL を設定し、前の API レスポンスから得た値を次の API リクエストで使用することもできます。さらに新 API では、セキュリティも重視されています。API モニタリングテストは、当社のログイン情報リポジトリと統合されており、API シークレットや API 認証方法の特別な処理を行えるため、セキュアで信頼性に優れています。
API モニタリングテストは、必要に応じてシンプルなものから複雑なものまで幅広く作成可能です。ITOps チームは、複数ステップのテストを柔軟に作成し、API とアプリケーション エコシステムに対して必要な可視性を確保できます。次の図では、例として 2 つの異なる URL リクエストを含む基本的な 2 ステップの API テストを示しています。
このテスト結果により、API の動作を迅速に評価できます。たとえば、API の完了率を見て API が期待どおりに機能したのか、API トランザクション時間を見て API の処理速度が通常より遅くなっていないかがわかります。さらに DNS や SSL など個別のプロセスについて、詳細な内訳も把握できます。テスト結果は ThousandEyes の他のテストと同じように、共有可能な URL や Sharelink(共有リンク)として保存できるため、障害対応中に複数のチームで協力したりベンダーと共同作業したりする際に役立ちます。
もう 1 つの新しい機能は AWS Test Recommendations - API Gateway(AWS テストに関する推奨事項 - API ゲートウェイ)です。この特徴は、クラウドホスト型の重要な API を迅速に検出し、テストを展開し、モニタリングを開始できることです。AWS アカウントから直接 AWS API Gateway を自動的に検出し、アクティブな API 構成に基づいてテストの推奨事項を生成するため、API モニタリングを今までにないレベルに引き上げることができます。
AWS Test Recommendations - API Gateway は、各 API のサポートされているメソッド、必要なパラメータ、ヘッダーなどを含め、重要な API エンドポイントを自動的に特定します。これにより、SRE や ITOps といったチームは、包括的なモニタリングの適用とテストの展開を自動化できます。クラウドホスト型の重要な API を迅速に検出し、テストを展開し、モニタリングを開始できることも特長です。
Endpoint Enhancement - Test Settings 2.0
ThousandEyes Endpoint Agent 用の合成テストを構築するプロセスをさらに合理化するため、[Test Settings](テスト設定)構成ページにウィザード方式の新しい操作方法を実装しました。これにより、必要なドメインと設定をすべて含む事前定義済みのテンプレートを使用して、一般的な SaaS アプリケーションのモニタリングを簡単に構成できます。また、認定済みテンプレートに付属しているベストプラクティスガイドには、各アプリケーション向けのテスト設定とモニタリング戦略が記載されています。さらに、カスタムテンプレートを追加することもできます。独自のアプリケーションを定義しておき、後でその構成を再利用すれば、別のテストを迅速に構築可能です。
汎用的なデータモニタリング
ダッシュボードの強化
ダッシュボードは、ThousandEyes のテストから得られるデータを可視化し、さまざまな場所、アプリケーション、ユーザーにわたるパフォーマンス指標を集約するための鍵となります。運用チームやサービスデスクチームは、ダッシュボードのパフォーマンス概要の画面で、個別のユーザーやデバイスに関する詳細情報を迅速に集計できるなど、障害対応が合理化されます。ThousandEyes ダッシュボードに加わった 2 つの新機能により、障害対応や使い勝手が強化され、大規模なチーム向けに拡張性が高められています。
Dashboard Drilldown(ダッシュボードドリルダウン)機能を利用すると、ダッシュボード上のウィジェットに隠れているテストデータを簡単に閲覧できます。例えば、あるパフォーマンス指標から損失や遅延が判明した場合、その指標をクリックすると、履歴データを含む展開ビューが表示されます。また、新しいマルチサービスビュー機能により、複数のダッシュボードウィジェットから得られた結果を 1 つのページに統合できます。この機能は、全体的なパフォーマンスの関連性を把握し、統合ビューとして提示する際に役立ちます。
Dashboard Filter(ダッシュボードフィルタ)機能により、ダッシュボードを利用した障害対応や調査が簡単になります。管理者はこの機能でダッシュボードを構成し、その後ロケーション、ユーザーグループ、サービスなど、特定のデータセットを対象にすべてのデータと配置を集計できます。このようなフィルタはライブラリとして保存可能で、集計のスピードアップに役立ちます。