私たちを取り巻く世界は急速に変化しています。デジタル トランスフォーメーション(DX)により、クラウドサービスや SaaS アプリケーション、そして SD-WAN(ソフトウェア定義型広域ネットワーク)のようなインターネット依存環境への移行が進んでいます。DX プロジェクトの加速に伴い、ビジネスとエンドユーザーの双方でパフォーマンスへの期待が高まっています。その結果、ネットワーク事業者は大部分の時間を事後対応的な対応に費やすことになり、より戦略的な最適化作業のための時間をほとんど確保できていません。
企業の需要の変化に対応するには、ユーザー体験への影響が出る前に、ネットワーク状況をプロアクティブに最適化できるスケーラブルなアプローチが不可欠です。これにより、将来を見据えた革新と構築に必要な時間と余裕を確保できるのです。
ThousandEyes には、インターネット、クラウド、ビジネスに不可欠な SaaS アプリケーションの分野で、デジタル体験の可視化における長年の実績があります。パフォーマンスを把握し、迅速に障害対応を行うために不可欠な、マルチレイヤーの可視性が特徴です。
弊社は本日、革新的な最新製品、ThousandEyes WAN Insightsの一般提供を開始いたします。プロアクティブに推奨パスを提案し、可視性ワークフローを提供することで、Cisco SD-WAN 全体にわたるエンドユーザー体験を改善できることが特徴です。ネットワークチームにとっては、これまでにない方法でネットワークの障害にプロアクティブに対応し、エンドユーザーに影響が及びそうな状況を緩和できるようになります。
WAN Insights により、問題の報告件数を減らし、エンドユーザーの問題をより短時間で解決できるなど、日常業務での効果を期待できます。先日、Insight Global 社のネットワークアーキテクトである Michael Kutka 氏との対談を行い、同社が WAN Insights を活用して卓越したアプリケーション体験とエンタープライズ ネットワークを実現できたヒントを伺いました。対談の様子は以下の動画にてご覧いただけます。
ThousandEyes WAN Insights の主な特徴:
- Recommendations(推奨事項)画面:オンボード済みの各アプリケーションについて、ネットワークパスやトラフィックルーティングの変更を含めた推奨パスを提案します。これにより、特定のアプリケーションカテゴリにおけるパフォーマンスを改善し、エンドユーザーへの悪影響を軽減できます。推奨理由は Details(詳細)画面で把握できます。
- Site Details(サイトの詳細)画面:すべてのサイトにわたりアプリケーションの品質を計測し、品質に影響を及ぼしているネットワーク状況について詳細情報を示します。
アプリケーション中心のアプローチでプロアクティブな対応を実現
今日のハイブリッドワーク環境は極めて高度なアプリケーションから成り立っているため、非常に複雑です。各種アプリケーションは異種ネットワークに分散しており、エンドユーザーはそのアプリケーションにネットワーク状況の異なるさまざまな場所からアクセスします。アプリケーションのパフォーマンスは、ユーザーのデジタル体験だけでなく生産性にも直接的な影響を及ぼすなど、ますます重要になっています。問題が発生した後にしか対応できないようであれば、影響が拡大して長期化する危険性があります。問題の修復に時間がかるほど、エンドユーザーが受ける影響も大きくなるのです。この傾向が当てはまるのは、表面化してユーザーから報告される問題や、短期的には自動で軽減できるような問題に限りません。パフォーマンスが「この程度」だと考えられていたのが、実際にはプロアクティブな対策によって改善できるシナリオにも当てはまるのです。
つまり事後対応では、エンドユーザー体験への影響がより大きくなるだけでなく、長期的な品質低下の問題を発見・解決できない可能性もあるのです。そこから脱却し、プロアクティブなアプローチを構築するための第一歩は、ネットワークパフォーマンスを可視化し、それがビジネスクリティカルなアプリケーションに及ぼす影響を相関付けることです。Microsoft 365、SAP、Webex by Cisco などの重要な SaaS アプリケーションでも、事業運営のために重要な社内アプリケーションでも、同じことが言えます。
そこで WAN Insights において弊社が採用したのが、アプリケーション中心のアプローチです。つまり、すべてのインサイトをアプリケーションと関連付けて提供することです。ネットワーク品質によるユーザーへの影響を可視化し、プロアクティブにルーティングを変更するための長期予測に基づく推奨パスを提案する機能などが含まれます。
WAN Insights は、Microsoft 365、Google Workspace、Salesforce、Webex by Cisco、GoToMeeting、音声アプリケーションという 6 種類に標準対応します。これらのアプリケーションについては SLA メトリックが事前に定義されているほか、必要に応じて任意のアプリケーションをオンボードすることもできます。
新たなパラダイム:事後対応型からプロアクティブな SD-WAN へ
ネットワーク状況は常に変動するため対応が困難です。ただし問題の発生は避けられず、エンドユーザーの体験に影響します。でも SD-WAN ネットワークでトランスポート層の将来の動きを予測し、影響を回避できるとしたらどうでしょう?その場合、トラフィックを安定した代替パスへとプロアクティブに動かせるため、品質低下を軽減できる可能性があります。
WAN Insights は長期的な推奨パスを提案できるため、このようなワークフローを可能にします。SD-WAN ネットワークに予測能力を追加できるとも言えます。これによりパスの長期的な品質を予測し、トラフィックを将来的な品質低下の可能性が低いパスへとプロアクティブに動かせるのです。
WAN Insight の推奨エンジンは、すべてのネットワークパスをビジネスクリティカルなアプリケーションと結び付けて継続的にモニタリングし、他と比べて品質向上が予測される代替パスを提案します。
推奨機能はユーザートラフィック情報の分析も行うため、影響の大きいサイトを特定し、優先事項を決めるのに役立ちます。以下の例は、本番ネットワークにおける WAN Insights です。ここでは 12.57% の品質向上が予測されるため、トラフィックを「biz-internet」に動かすことが推奨されています。
予測に基づく推奨機能は、SD-WAN ネットワークのパス選択における斬新なアプローチです。広範囲にわたる What-if 分析により、変化するネットワーク状況を踏まえて、アプリケーション パフォーマンスへの影響を予測します。その結果、エンドユーザーに影響が及ぶ前にトラフィックを代替パスへと動かすことで問題を回避できるのです。
推奨の根拠と、予測の前提となったネットワーク状況は、各推奨事項の詳細ページで確認できます。予測の前提となったサイトにつながっているネットワーク領域を特定できるほか、損失、遅延、ジッターなど、ネットワークに関する基本的なメトリックを踏まえて予測内容をよく理解することにも役立ちます。
このような業界初の新しい推奨ワークフローは、エンドユーザー体験への悪影響につながるシナリオを緩和できるほか、問題があるパスの有無を調査する際にも役立ちます。
予測に基づく推奨パスは、決められたアプリケーションについて、より高品質なパスがある場合にのみ生成されます。すべてのパスの品質が同程度な場合、WAN Insights は推奨事項を提示しません。
予防的な障害対応
ネットワークチームは、すべてのパスで最適な品質を確保したいと考えるものです。しかし実際には、手動で数千ものパスをモニタリングし、エンドユーザー体験への影響を計測することは不可能です。そこで弊社は、WAN Insights に新しい可視性ワークフローを導入しました。WAN Insights の Site Details(サイトの詳細)セクションでは、ビジネスクリティカルなアプリケーションと結び付けて各サイトの品質を迅速に計測できるため、プロアクティブな障害対応を開始できます。デフォルトでは、エンドユーザーへの悪影響の大きい順にサイトとアプリケーションがソートされます。すぐに対処が必要なサイトとアプリケーションを容易に特定し、優先順位を付けることができます。
Site Details(サイトの詳細)画面では、ネットワークのうちアプリケーションのエンドユーザー体験に影響を与えている領域について、詳細な背景情報を確認できます。
このような新しい障害対応ワークフローを利用することで、ネットワークチームは迅速に責任の所在を特定できます。そして ThousandEyes の監視テスト機能により、根本原因の把握につながります。
ThousandEyes WAN Insights と Cisco SD-WAN により、ネットワーク運用(NetOps)チームは事後対応型から予防型に移行し、ネットワークとサービスのプロアクティブな自己最適化という未来に向けて大きな一歩を踏み出すことができます。WAN Insights についてさらに詳しい情報をお求めの場合、以下のデモビデオをご覧ください。あるいはこちらからお問い合わせいただければ、チームメンバーが直接ご説明いたします。